抄録
背景 : 予後不良でまれな膠肉腫の 1 例を経験した. Ultrafast-Papanicolaou (U-Pap) 染色での術中圧挫細胞診の有効性を中心に報告する.
症例 : 68 歳, 女性. 右上肢に麻痺が出現し, 当院紹介. MRI にて左前頭葉にリング状に造影される腫瘤が認められ glioblastoma や転移等が疑われた. 腫瘍摘出術時の術中迅速組織診断では glioblastoma と診断されたが手術材料での組織診断では gliosarcoma と診断された. Papanicolaou (Pap) 染色を用いた術中圧挫細胞診では glioblastoma を推定するにとどまった. 後に再発が確認された. 再摘出時の U-Pap 染色を用いた術中圧挫細胞診ではグリア系と間葉系の 2 つの異なる腫瘍細胞集団を確認することができ gliosarcoma の再発と確認できた. 特に U-Pap 染色標本では Pap 染色標本よりグリア系腫瘍細胞におけるグリア線維が強調されて染め出され形態鑑別が容易であった.
結論 : Gliosarcoma はまれな腫瘍ではあるが, グリア系腫瘍細胞と間葉系腫瘍細胞の混在が認められる場合, 本疾患を念頭に置いて鏡検すると細胞診でも診断可能と思われた. また, 確定には Pap 染色と比較して U-Pap 染色がより有効であると思われた.