日本臨床細胞学会雑誌
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症例
異型扁平上皮細胞の出現を伴った子宮頸部腺様嚢胞癌の 1 例
井上 清香加勢 宏明五十嵐 俊彦
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2013 年 52 巻 4 号 p. 350-353

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抄録

背景 : 腺様嚢胞癌は唾液腺腫瘍では最も多くみられる癌であるが, 子宮頸部腺癌の中では 1%以下といわれ, 非常にまれな疾患である. 今回われわれは, stageIb2 期で発見し異型扁平上皮細胞の出現を伴った子宮頸部腺様嚢胞癌の 1 例を経験したので, 細胞像を中心に文献的考察を加え報告する.
症例 : 80 歳代, 主訴は不正性器出血. 大量の性器出血のため救急搬送された. 頸部腫大を認め, 頸部細胞診は ASC-H であった. 腫瘍部位の細胞診および生検において腺様嚢胞癌と診断した. 腹式子宮全摘出術および両側付属器摘出術を施行した.
細胞診にて孤立散在性にクロマチンの増量し濃縮した N/C 比の高い細胞がみられた. 重積性に富む集塊を認め, 内部に空洞を認めた. 一部の集塊では粘液を認めた.
組織所見では細胞質の乏しい小型の傍基底細胞様の腫瘍細胞が篩状構造をなし, 腺様嚢胞癌に特徴的な像を示していた.
結論 : 子宮頸部腺様嚢胞癌では淡明な粘液を含む嚢胞状構造を占める細胞集塊を認めることが特徴であり, また異型扁平上皮細胞を認めることもある. ごくまれな腫瘍であり, 一定の治療プロトコールは存在しない. しかし予後は不良であり, 注意深い診断が求められる.

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© 2013 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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