目的 : 尿細胞診の検体処理に液状化細胞診 (Liquid based cytology : LBC) を用いることで診断価値の高い標本が作製可能か検討した.
方法 : 同一検体を用いて従来法と用手法による処理が可能な 3 種類の LBC 法による検体処理で標本を作成した. 各標本で細胞の評価, 平均細胞数, 腫瘍細胞の核面積および好中球の直径を計測して比較を行った.
成績 : 上皮細胞数は従来法と比較するとすべての LBC 法で多かったが, 処理法の違いにより細胞数や腫瘍細胞の出現に差がみられた. 腫瘍細胞の核面積は処理法により小型になる方法と大型になる方法が存在した. 細胞所見は核と細胞質がともに濃染する方法と細胞質のみが濃染して核は淡染する方法が確認された.
結論 : LBC 法を利用することで細胞集塊の剥離が少ない標本が作製可能であるが, 処理法の違いにより細胞数や細胞の変化が異なるため, 施設にあった処理法を選択し, 処理後の細胞の特徴を考慮することが診断精度を高めるためには重要と思われた.