日本臨床細胞学会雑誌
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症例
副腎および後腹膜原発 paraganglioma の 2 例
田中 正純田中 美帆坂根 潤一西村 俊直斉藤 彰久倉岡 和矢谷山 清己
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2014 年 53 巻 2 号 p. 142-147

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抄録

背景 : Paraganglioma は, 自律神経系の傍神経節組織から発生する神経内分泌腫瘍で, 副腎に発生したものは褐色細胞腫, 副腎外に発生したものは副腎外 paraganglioma とされている. 今回われわれは副腎内外のparaganglioma 2 例を経験したので, 細胞学的特徴を中心に報告する.
症例 : 症例 1. 60 歳代後半, 女性. 血圧は正常であった. CT 検査で悪性卵巣腫瘍を疑われた. 腫瘍は後腹膜原発であった. 症例 2. 60 歳代後半, 男性. 高血圧, CT 検査で左副腎腫瘍を指摘され摘出手術が施行された. 捺印細胞診では, いずれも腫瘍細胞は散在性に分布し, Zellballen (胞巣状) 細胞配列が認められた. 核内は粗大顆粒状クロマチンがみられ核小体不明瞭であった. 症例 1 ではメラニン顆粒, 症例 2 では好酸性顆粒が特徴的所見として認められた. 免疫細胞化学染色では, chromogranin A, synaptophysin, vimentin が陽性であった. 以上より paraganglioma と診断した.
結論 : 本腫瘍の診断には, Zellballen 細胞配列, 粗大顆粒状クロマチン, 細胞質内顆粒に着目することが大切である.

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© 2014 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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