日本臨床細胞学会雑誌
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症例
セル・ブロック (ピペット・オブラート法) が診断に有用であった膵 solid-pseudopapillary neoplasm の 1 例
藤中 浩樹西川 京子松井 美智代下山 玲子佐々木 志保島津 宏樹伏見 博彰
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2014 年 53 巻 2 号 p. 138-141

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抄録

背景 : 細胞診検体からセル・ブロックを作製すると多数の標本作製, 染色が可能となり診断確定に役立つ. 今回われわれは容易なセル・ブロック作製法 (ピペット・オブラート法) を用い診断を確定した膵 solid-pseudopapillary neoplasm (以下, SPN) を経験したので報告する.
症例 : 50 歳代, 男性. 他院にて膵尾部に腫瘤が認められたため当センターを受診, 超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診が施行された. 小型円型の腫瘍細胞が孤立散在性あるいは毛細血管間質を中心に偽乳頭状や放射状配列で認められた. SPN が疑われたためセル・ブロックを作製した. HE 染色にて円形核, 好酸性細胞質を有する腫瘍細胞が毛細血管間質を中心とした偽乳頭状集団を形成していた. また免疫染色を施行したところ腫瘍細胞は Vimentin, α1-antitrypsin, CD10, Progesterone receptor, Synaptophysin (一部), β-catenin が陽性であった. 以上の結果より SPN と診断された.
結論 : セル・ブロックを作製することにより詳細な検索追加が可能となり細胞学的検討のみより確実な診断を行うことが可能となった.

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© 2014 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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