日本臨床細胞学会雑誌
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原著
甲状腺細胞診濾胞性病変における診断アルゴリズムと新報告様式の提案
樋口 観世子廣川 満良佐々木 栄司丸田 淳子越川 卓加藤 良平覚道 健一坂本 穆彦宮内 昭
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2014 年 53 巻 4 号 p. 264-270

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抄録

目的 : この報告の目的は, 濾胞性病変の診断アルゴリズムの確立と新報告様式の提案である.
方法 : 2011 年 1∼12 月の間に隈病院にて甲状腺が切除された濾胞腺腫 78 例, 濾胞癌 40 例を対象に, その術前穿刺吸引細胞診標本を検討した.
成績 : 1) 高い濾胞密度, 2) 立体的小濾胞状集塊が集塊の 50%以上, 3) 索状集塊, 4) 核の大きさが好中球の 2 倍以上, 5) 過染性核クロマチンなどの頻度は濾胞腺腫よりも濾胞癌のほうに有意に高かった. それらの各所見を 1 点としてその合計を算出した場合の濾胞癌の頻度は, 1 点 32.0% (8/25), 2 点 60.9% (14/23), 3 点 42.9% (3/7), 4 点 62.5% (5/8), 5 点 100% (2/2) であった.
結論 : 甲状腺細胞診濾胞性病変の診断アルゴリズムと報告様式を提案した. 細胞診では濾胞腺腫や濾胞癌の診断はできないことから, 現時点では両者を区別するのではなく, 臨床的な対応を考慮する方向性が望ましい.

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© 2014 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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