日本臨床細胞学会雑誌
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原著
甲状腺低分化癌は診断可能か?
—10 項目のパラメーター解析—
中澤 久美子弓納持 勉峰 広美佐藤 詩織中澤 匡男近藤 哲夫福島 万奈佐々木 栄司柴田 亮行加藤 良平
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2014 年 53 巻 5 号 p. 349-355

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抄録

目的 : 甲状腺低分化癌の診断に有用な細胞学的特徴の検討を行った.
方法 : 組織学的に甲状腺低分化癌と診断された細胞診材料 19 例を用い, 以下の項目について乳頭癌 (20 例) および濾胞性腫瘍 (14 例) と比較検討した. 検討項目は, 細胞量, コロイドの欠如, 充実/索状/島状 (solid/trabecular/insular, 以下 STI) 成分, N/C 比, 核異型, 核の大小不同, 核分裂像, 壊死, 過密な細胞集塊および内皮細胞のラッピング像の 10 項目である.
成績 : 低分化癌は乳頭癌と比較し, STI 成分, 核の大小不同, 核異型性 (おのおの p<0.01), コロイドの欠如および核分裂像 (ともに p=0.02) で有意差を認めた. 濾胞性腫瘍との比較では, STI 成分, 核の大小不同 (ともに p<0.01), 核分裂像 (p<0.05) で有意差を認めた. また, 10 項目中 5 項目以上重複例は, 4 項目以下と比較し STI 成分とともに核の大小不同や核異型性の重複が有意であった (p<0.01).
結論 : 甲状腺細胞診において, STI 成分に加え 5 項目以上の重複所見により低分化癌の推定が可能となると思われた.

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© 2014 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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