抄録
目的 : 現在では, 多くの国でベセスダシステムが採用され, 国際基準となりつつある. 本邦にてベセスダシステム導入の際の問題点を明らかにする目的で, 取扱い規約の概念に存在しなかった「意義不明な異型/意義不明な濾胞性病変 (atypia of undetermined significance/follicular lesion of undetermined significance : AUS/FLUS) 」に焦点を当て解析を行うことにした.
方法 : 10716 結節の甲状腺細胞診標本を見直し, AUS/FLUS に分類された結節の再検率, 切除率, 悪性の危険度などを検討した.
成績 : AUS/FLUS は全結節の 2.2% (236 結節) で, 「一部の細胞に乳頭癌を疑う所見を認めるが, 多くの細胞は良性」と「小濾胞状細胞集塊が優勢だが, follicular neoplasm/suspicious for follicular neoplasm : (FN/SFN) の診断基準を満たさない」が 78.3%を占めていた. 74 結節 (31.4%) が再検され, その 85%が良性・悪性に振り分けられた. 39 結節 (16.5%) が穿刺後 1 年以内に切除されたが, 「小濾胞状細胞集塊が優勢だが, FN/SFN の診断基準を満たさない」とした 76 結節はすべて経過観察されていた. 悪性の危険度は, AUS/FLUS と報告した全結節の 13.1%, 切除された結節の 79.5%であった.
結論 : AUS/FLUS と報告した結節における悪性の危険度からみて, ベセスダシステムの導入に問題はないと思われた. 一方, 切除された結節の悪性の危険度はベセスダシステムのデータよりもかなり高く, 臨床的対応や切除例における悪性の危険度に関しては, 各施設が同様の解析を行い, その結果を踏まえて本邦独自のものを提案していく必要があると思われる.