日本臨床細胞学会雑誌
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症例
GIST との鑑別が困難であった十二指腸に発生した紡錘細胞型カルチノイド腫瘍の 1 例
日野 寛子畠 榮高須賀 博久成富 真理物部 泰昌
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2014 年 53 巻 5 号 p. 383-389

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抄録

背景 : 胃腸管間質腫瘍 (GIST) との鑑別が困難であった十二指腸に発生した紡錘細胞型カルチノイド腫瘍 NET (neuroendocrine tumor) G1 を経験したので, その細胞像を中心に報告する.
症例 : 60 歳代, 男性. 空腹時心窩部痛を主訴に他院を受診. 内視鏡検査で上十二指腸角に約 20×10 mm 大の西洋梨状の隆起性病変を認め, 当院内科を紹介された. 超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診 (EUS-FNA) では紡錘形細胞が散在性, あるいは結合性のある小集塊でみられた. 核は紡錘形でクロマチンは均一細顆粒状で好酸性の小型核小体が認められ, GIST や神経内分泌腫瘍を疑った. セルブロックの免疫染色ではシナプトフィジン, クロモグラニン A, CD56 が陽性でカルチノイド腫瘍と診断した. 内視鏡下粘膜剥離術による摘出組織では, 短紡錘形∼紡錘形の核を有する上皮細胞が粘膜下層に胞巣状, リボン状, 索状に増殖していた.
結論 : 十二指腸粘膜下腫瘍の穿刺吸引細胞診において紡錘形細胞を呈した場合は, 間葉系腫瘍以外に神経内分泌腫瘍も鑑別診断に入れて免疫染色組織化学的手法などを用いて診断することが必要であると考えられた.

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© 2014 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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