日本臨床細胞学会雑誌
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症例
術中腹水細胞診に上皮様結合を示す異型細胞が認められた未分化子宮内膜肉腫の 1 例
望野 唯明市村 隆也茅野 秀一安田 政実清水 道生佐々木 惇
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2014 年 53 巻 6 号 p. 482-487

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抄録
背景 : 術中腹水細胞診で異型細胞が上皮様結合で認められた未分化子宮内膜肉腫の 1 例を報告する.
症例 : 45 歳, 女性. 検診で子宮筋腫を指摘され, 経過観察中に貧血, 筋腫増大, 不正性器出血がみられ, MRI 検査で子宮体部前壁に不整腫瘤と内部にポリープ状領域を認め, 腹式単純子宮全摘術・両側付属器切除術が施行された. 術中時の腹水細胞診で, 小型の異型細胞が木目込み状配列, 相互封入像などの上皮様の結合と一部の異型細胞の核に, 立体的なくびれや深い切れ込みを認めた. 迅速時の捺印細胞診では小型の異型細胞が血管を軸に増生した集塊でみられ, また, 核分裂像も多数認められた. 細胞転写法による免疫細胞化学では, 腹水および捺印細胞診ともに CD10, vimentin が陽性で平滑筋細胞, 神経系細胞の両マーカーは陰性であった. 上皮様結合でみられた異型細胞は, 小細胞癌などとの鑑別が問題となったが, 形態像を詳細に観察することや免疫細胞化学の結果から子宮内膜間質腫瘍と推定診断した.
結論 : 術中腹水細胞診で小細胞癌などとの鑑別が問題となったが, 細胞形態像や細胞転写法による免疫細胞化学の結果から, 本例は未分化子宮内膜肉腫として矛盾しないと考えられた.
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© 2014 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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