2016 年 55 巻 6 号 p. 382-387
背景 : 乳腺原発 carcinoma with neuroendocrine features (CNF) は, 比較的まれな乳腺腫瘍の一つであり, 細胞像の報告は少ない. われわれは病理組織学的に CNF と診断された 4 例を経験したので報告する.
症例 : 全例が女性, 年齢は症例 1~3 は 70 歳代, 症例 4 は 40 歳代であった. 主訴は, 症例 1~3 が乳房のしこり, 症例 4 は褐色乳頭分泌物であった. 全例で穿刺吸引細胞診 (FNAC) が施行された. 症例 1 の細胞像は, 肺などに原発する小細胞癌に類似していたため, CNF, neuroendocrine carcinoma poorly differentiated/small cell carcinoma (NEC) との推定診断が可能であったが, 症例 2~4 では, 多彩な細胞像であり推定診断は困難であった. 組織標本では腫瘍細胞の増殖に加え, 全例で 50%以上の腫瘍細胞が神経内分泌マーカーに陽性を示し, CNF と診断された.
結論 : 乳腺原発 CNF4 例の細胞像について報告した. 症例 1 は小細胞癌に類似する細胞像から組織型を推定しえたが, 他症例は多彩な細胞像を示し, 組織型推定が困難であった.