日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
症例
胸部明細胞肉腫の 1 例
本田 恭子牛島 友則宮崎 小百合斉藤 美紀井上 正年本告 匡松本 光司
著者情報
ジャーナル 認証あり

2016 年 55 巻 6 号 p. 388-394

詳細
抄録

背景 : 明細胞肉腫 (clear cell Sarcoma) は若年成人の四肢に好発し, 分化未定腫瘍群に分類され, メラノサイトへの分化を特徴とするまれな軟部悪性腫瘍である. 今回, 高齢男性の胸部に発生した 1 例を経験したので報告する.

症例 : 76 歳, 男性. 右側胸部の腫瘤に気づき, 近医を受診し当院を紹介され, 精査加療目的で入院となった. MRI で右側胸部皮下脂肪深層に腫瘤を認め, 辺縁やや不整, 内部不均一で出血を伴うことから, 悪性腫瘍が疑われた. 生検の後に腫瘤が全摘され, 捺印細胞診ではライトグリーン好染性の細胞質と類円形核, 明瞭な核小体を有する細胞が認められ, 核内封入体も観察された. メラニン色素は確認できなかった. 組織診では異型細胞の充実性増殖がみられ, 免疫組織化学的に vimentin, S-100 蛋白, Melan-A が陽性を示し, さらにEWSR1-ATF1キメラ遺伝子が検出され明細胞肉腫と診断された.

結論 : 年齢や部位が非典型的で, 腫瘍細胞にメラニン色素が確認されない場合は明細胞肉腫の診断に難渋するが, 本例のような細胞像, 組織像に遭遇した場合には, 明細胞肉腫の可能性も念頭におくことが必要である.

著者関連情報
© 2016 公益社団法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top