日本臨床細胞学会雑誌
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症例
右下顎骨および甲状腺左葉からの Liquid based cytology で肺腺癌と診断できた TX 肺癌症例
森 正樹岩崎 和美前川 秀樹鈴木 佑梨森 和枝小上 瑛也酒井 康弘今村 好章
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2016 年 55 巻 6 号 p. 395-400

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抄録

背景 : 右下顎骨および甲状腺左葉からの Liquid based cytology (LBC) で原発巣と組織型が短期間に診断できたことで, 治療の奏効につながった TX 肺癌症例を経験したので報告する.

症例 : 80 歳代, 女性. 右頬部腫脹と疼痛を主訴に当院を受診した. 頭頸部 CT・MRI・FDG-PET 検査で右下顎骨, 第一頸椎および甲状腺左葉に腫瘤を認めたが, 両肺野に病変はなく, 当初原発不明癌が疑われた. 右下顎腫瘍の生検術が施行され, 同時に採取された LBC 標本から上皮性結合を有する腫瘍塊を認め, 免疫染色で TTF-1, Napsin A が陽性であった. これらの所見は甲状腺左葉の LBC 標本にも認められ, 同様の結果は右下顎の組織診でも追認されたことより, 最終的に右下顎骨と甲状腺左葉転移を伴った TX 肺癌 (腺癌, Stage Ⅳ) と診断できた. さらに, LBC 残余検体から EGFR 遺伝子変異がすみやかに検出されたことで, 早期の gefitinib 治療につながり奏効した.

結論 : LBC は迅速, 簡便, 低侵襲性, かつ細胞の保存にも優れることから, 原発巣不明症例の診断にも組織診に先駆けて積極的に活用されるべきと考えられた.

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