日本臨床細胞学会雑誌
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原著
大阪における細胞検査士のための継続的精度改善活動の評価
矢羽田 一信南雲 サチ子矢野 恵子竹中 明美吉村 英雄田路 英作三村 明弘寺本 友昭芦村 純一植田 政嗣
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2017 年 56 巻 1 号 p. 15-20

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抄録

目的 : 大阪における継続的精度改善活動 (CQIP) が細胞検査士の細胞判定水準の向上と格差の是正に効果があったか評価することを目的とした.

方法 : CQIP として細胞診教育の PDCA cycle を構築した. 2005~2014 年に自己採点方式スライドカンファレンス (SAQC) に参加した延べ 763 名の成績を対象とし CQIP の効果について検討した. 有意差検定は t 検定を用いた.

成績 : SAQC の参加回数が 1 回~9 回の細胞検査士の平均正解率と標準偏差は 72%±12%, 75%±12%, 74%±11%, 74%±11%, 76%±11%, 76%±11%, 81%±10%, 83%±8%, 83%±8%であり, 参加回数と SAQC の成績の間には強い正の相関を認めた. t 検定の結果, 初めて参加した細胞検査士と参加回数 5 回以上の細胞検査士の正解率には有意水準 5%の有意差が示された. 標準偏差は参加回数が 8 回以上では 10%を切りデータの収束が認められた.

結論 : SAQC で自己能力の定期的な反省と検証を繰り返し, CQIP で改善行動をとり続けることが, 細胞検査士の細胞判定水準の向上と格差の是正に効果があったと考える.

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© 2017 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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