2017 年 56 巻 5 号 p. 244-249
背景 : 子宮頸部大細胞神経内分泌癌 (large cell neuroendocrine cancer, 以下 LCNEC) は, 子宮頸癌の 0.5%とまれで, 早期に血行性転移をきたし予後不良とされている. 今回子宮頸部 LCNEC の症例を経験したので報告する.
症例 : 48 歳, 女性. 不正性器出血のため近医受診し, 約 3 cm の子宮頸部腫瘍を指摘され当科紹介. 子宮頸部細胞診で扁平上皮癌, 腫瘍生検で腺扁平上皮癌と診断され, 子宮頸癌ⅠB1 期としてロボット支援下広汎子宮全摘を施行した. 術後病理組織診で腫瘍表層部の壊死や炎症が目立ち, 腫瘍生検と類似していた. しかし深層の腫瘍細胞は柵状, 木目込み細工様の配列に増殖し, 大型の細胞であり, シナプトフィジン, クロモグラニン A が陽性で LCNEC と診断した. 確定診断後に術前の細胞診を免疫染色したところ, シナプトフィジン, クロモグラニン A ともに陽性であった.
結論 : 腫瘍表層の壊死, 炎症のため典型的な LCNEC の像が得られなかったことが, 術前診断ができなかった要因であった. しかし細胞および組織での免疫染色は LCNEC の診断に有用と思われた.