日本臨床細胞学会雑誌
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56 巻 , 5 号
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原著
  • 関根 浄治, 秀島 克巳, 岩橋 輝明, 渡邊 正章, 管野 貴浩, 成相 義樹
    2017 年 56 巻 5 号 p. 203-209
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/14
    ジャーナル 認証あり

    目的 : 口腔細胞診における SIL 症例を従来のパパニコロウ分類と 3 段階分類法と比較し, SIL 症例の取扱いを明らかにすること.

    方法 : 2007 年 6 月 1 日~2014 年 9 月 30 日に当科にてベセスダシステムで判定した 1867 例を対象とした. また, 従来のパパニコロウ分類と 3 段階分類を併せ行った. Class Ⅲ症例を “癌が疑われる異型細胞” とし, LSIL を Subclass Ⅱ-Ⅲ, HSIL を Subclass Ⅲ, Subclass Ⅲ-Ⅳに細分類した.

    成績 : NILM 1298 例, LSIL 158 例, HSIL 267 例, SCC 132 例, 検体不適正 12 例であった. 3 段階評価では, 陰性 1298 例, 疑陽性 425 例, 陽性 132 例であった. 全 SIL 症例中 186 例に対して病理組織検査が行われ, 扁平上皮癌が LSIL の 29.3%, HSIL の 53.1%にみられた.

    結論 : SIL 症例に悪性症例が検出されたことから, 病理組織検査の必要性が示唆された. また, 今後 NILM と SIL, さらに LSIL と HSIL を明確に区別する詳細な診断基準の検討が必要であると思われた.

  • 久山 佳代, 二谷 悦子, 浮ケ谷 匡恭, 松本 敬, 森川 美雪, 末光 正昌, 齋藤 隆明, 宇都宮 忠彦, 酒巻 裕之, 大村 光浩
    2017 年 56 巻 5 号 p. 210-217
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/14
    ジャーナル 認証あり

    目的 : 病理組織学的に扁平上皮癌 (squamous cell carcinoma : SCC) と診断された口腔擦過細胞診の従来法と Liquid based cytology (LBC, SurePath 法) における細胞量, 細胞所見および SCC 的中率の比較検討を目的とする.

    方法 : スプリット・サンプル法で作製した口腔擦過細胞診標本 (従来法および SurePath 法各 23 例) を対象に細胞量, 画像解析ソフト ImageJ 1.48 による角化型表層系異型細胞の数値化 (細胞質光輝性・円形度・クロマチン不均等分布) および細胞検査士による細胞所見 (背景・細胞集塊・細胞質・核) と SCC 的中率の比較検討を行った.

    成績 : 細胞量は SurePath 法が有意に多かった. 角化型表層系異型細胞の光輝性は従来法が, クロマチン不均等分布は SurePath 法が大きく, 円形度は同等であった. 細胞所見は, SurePath 法が細胞種ごとにグルーピング化されるために背景の細胞の重なりが失われ, 観察しやすかった. しかし, 従来法で認められる表層系異型細胞特有の細胞質辺縁形態が喪失し, 深層系異型細胞の核の透明性が亢進した. SCC 的中率は, 従来法 62.0%, SurePath 法 61.9%で両者に有意差は認められなかった.

    結論 : SurePath 法は従来法と比較して細胞量に優位性が認められた. 従来法および SurePath 法のそれぞれに特有の細胞所見が存在したが, SCC 的中率は両者に有意差がみられなかった.

  • 山本 泰, 宇都宮 忠彦, 末光 正昌, 森川 美雪, 松本 敬, 坂田 一美, 齋藤 隆明, 浮ケ谷 匡恭, 久山 佳代, 小宮 正道
    2017 年 56 巻 5 号 p. 218-224
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/14
    ジャーナル 認証あり

    目的 : 口腔顎顔面領域に発症するさまざまな疾患における穿刺吸引細胞診の有用性を明らかにすること.

    方法 : 穿刺吸引法によって細胞診を行い, 後に病理組織診断を得た口腔顎顔面領域病変 181 例を対象とし, 細胞診断を行った.

    成績 : 病変の分類は腫瘍 73 例, 囊胞 61 例, 炎症は 47 例であり, 推定診断の正診率は唾液腺腫瘍 77%, 顎骨腫瘍 75%, 軟組織囊胞 60%, 顎骨内囊胞 45%, 軟組織腫瘍は 39%であった. 細胞診断は検体不適正 1 例, 検体適正 180 例であり, 陰性 166 例 (92.2%), 陽性 14 例 (7.8%) であった. 穿刺吸引細胞診の精度は感度 61.9%, 特異度 99.4%, 正診率 94.5%であった.

    結論 : 唾液腺良性腫瘍に対する穿刺吸引細胞診は過去の報告と同様に良好な正診率と質的診断が得られる有用な検査方法であるが, 唾液腺悪性腫瘍においては質的診断が困難であると考えられた. 扁平上皮癌については粘膜下組織やリンパ節に穿刺吸引細胞診が施行されていたが, 腫瘍細胞が採取されていない症例も認められ, 採取技術力の向上が必要であると考えられた. 顎骨内病変に対する穿刺吸引細胞診は良悪性の鑑別には有用な検査法であるが, 囊胞性病変の場合には内容液ではなく囊胞壁を採取する技術の向上も必要であると考えられた.

  • 梅澤 敬, 落合 和彦, 山田 恭輔, 落合 和徳, 岡本 愛光, 磯西 成治, 沢辺 元司, 池上 雅博
    2017 年 56 巻 5 号 p. 225-231
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/14
    ジャーナル 認証あり

    目的 : BD シュアパスTM法における腫瘍性病変の陽性率および標本不適正率を split-sample により従来法と比較した.

    方法 : サーベックスブラシ®を用いて検体を採取し, 従来法および BD シュアパスTM法にて標本を作製し, 両法の陽性率, 標本不適正率および生検組織診との比較を検討した. 本研究は慈恵医大倫理委員会の承認を受け実施した〔22-189 (6366)〕.

    成績 : 解析対象は 572 例で, 平均年齢は 39.0 歳であった. 従来法と BD シュアパスTM法との完全一致率は 80.1%, HSIL をカットオフとした場合の全体一致率は 92.4%で, HSIL 以上の陽性率は同等であった. 生検組織診を基準とした BD シュアパスTM法の成績は, 感度 85.3%, 特異度 81.7%, PPV 84.1%, NPV 83.1%, 診断精度 83.6%と従来法と同等であった. 従来法と BD シュアパスTM法の標本不適正率は, おのおの 5.1%と 0%で有意な差が認められた (p<0.001).

    結論 : BD シュアパスTM法は標本不適正を排除して, 子宮頸部擦過細胞診検査の合理化に寄与すると考えられる.

症例
  • 長山 大輔, 内藤 嘉紀, 塚本 孝久, 伊藤 園江, 楳田 明美, 木村 芳三, 西田 直代, 檜垣 浩一
    2017 年 56 巻 5 号 p. 232-236
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/14
    ジャーナル 認証あり

    背景 : 今回われわれは胆管内上皮内腫瘍 (biliary intraepithelial neoplasia : BilIN) の 1 例を経験したのでその細胞像を中心に報告する.

    症例 : 40 歳代, 男性. CT 検査にて肝内胆管拡張と肝内胆管結石を認め, PTCD による胆汁細胞診が施行された. 細胞像では好中球を主体とする炎症細胞と胆汁色素を背景に, 異型細胞は不規則な重積に乏しい平面的配列集塊として出現していた. 細胞質は泡沫状~顆粒状で, 核の配列不整・核腫大と核の切れ込みなどの核形不整を認めた. 核クロマチンは細顆粒状~顆粒状で軽度増量し, 小型核小体を認め疑陽性と診断した. 画像所見から肝内胆管狭窄が強く悪性も否定できなかったため腹腔鏡下肝左葉切除術が施行された. 組織像では異型細胞は低乳頭状に増殖し, 細胞質は好酸性が強く, 核腫大や核形不整を認めたが, 明らかな浸潤癌の所見はなく BilIN-3 と診断された.

    結論 : BilIN-3 の細胞診断においては, 不規則な重積に乏しい平面的配列集塊で出現するにもかかわらず, 核腫大や核形不整などの個々の細胞異型を認めることに着目することが重要である.

  • 高橋 里実, 高橋 利幸, 田山 英司, 十河 沙佑里, 藤澤 孝志
    2017 年 56 巻 5 号 p. 237-243
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/14
    ジャーナル 認証あり

    背景 : 充実性偽乳頭状腫瘍 (solid-pseudopapillary neoplasm, 以下 SPN) は分化方向不明な低悪性度の腫瘍で, 若年の女性に好発する. 今回われわれは超音波内視鏡下穿刺吸引法 (以下 EUS-FNA) にて, SPN のまれな亜型である clear cell variant を経験する機会を得たので報告する.

    症例 : 患者は 44 歳, 女性, 前医で行った検診 CT で膵体部腫瘍を指摘された. 当院紹介となり, 各種画像診断で SPN が疑われ, 確定診断のため EUS-FNA が施行された. 細胞所見は比較的小型で, N/C 比は高くなく, 淡明で広い空胞状の細胞質をもつ腫瘍細胞が多く認められた. 一部ロゼット様配列もみられたため, 膵内分泌腫瘍 (pancreatic neuroendocrine tumor, 以下 PNET) との鑑別が問題となったが, 臨床画像所見と総合的に判断し, セル・ブロックを用いた免疫組織化学的検討を加えることで SPN として矛盾しないと判定した. 摘出標本の病理学的検査で SPN, clear cell variant と診断が確定された.

    結論 : PNET との鑑別に苦慮したが, 細胞形態の観察, 臨床所見を考慮すること, clear cell variant の存在を認識することで, SPN の推測が可能であった. SPN clear cell variant の確定診断には免疫組織化学的検討が必要であることも強調したい.

  • 三浦 理絵, 二神 真行, 横山 良仁, 刀稱 亀代志, 加藤 哲子, 渡邊 純, 黒瀬 顕, 鬼島 宏
    2017 年 56 巻 5 号 p. 244-249
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/14
    ジャーナル 認証あり

    背景 : 子宮頸部大細胞神経内分泌癌 (large cell neuroendocrine cancer, 以下 LCNEC) は, 子宮頸癌の 0.5%とまれで, 早期に血行性転移をきたし予後不良とされている. 今回子宮頸部 LCNEC の症例を経験したので報告する.

    症例 : 48 歳, 女性. 不正性器出血のため近医受診し, 約 3 cm の子宮頸部腫瘍を指摘され当科紹介. 子宮頸部細胞診で扁平上皮癌, 腫瘍生検で腺扁平上皮癌と診断され, 子宮頸癌ⅠB1 期としてロボット支援下広汎子宮全摘を施行した. 術後病理組織診で腫瘍表層部の壊死や炎症が目立ち, 腫瘍生検と類似していた. しかし深層の腫瘍細胞は柵状, 木目込み細工様の配列に増殖し, 大型の細胞であり, シナプトフィジン, クロモグラニン A が陽性で LCNEC と診断した. 確定診断後に術前の細胞診を免疫染色したところ, シナプトフィジン, クロモグラニン A ともに陽性であった.

    結論 : 腫瘍表層の壊死, 炎症のため典型的な LCNEC の像が得られなかったことが, 術前診断ができなかった要因であった. しかし細胞および組織での免疫染色は LCNEC の診断に有用と思われた.

  • 西周 裕晃, 関田 信之, 下境 博文, 齋藤 博子, 北風 あゆみ, 菅野 勇
    2017 年 56 巻 5 号 p. 250-254
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/14
    ジャーナル 認証あり

    背景 : Microcystic urothelial carcinoma は, 2004 年に WHO 分類に加えられた腫瘍である. 今回, 腎盂に発生した本疾患 1 例を経験したので報告する.

    症例 : 70 歳代, 男性. 2 ヵ月前から肉眼的血尿を自覚し, 尿閉のため救急搬送された. 腹部 CT で左腎盂に腫瘍病変を認め, 自然尿細胞診では, 腫瘍細胞は小型であるも核形不整や核の濃染を呈していた. 臨床的に左腎盂癌と診断され, 左腎尿管全摘術が行われた. 病理組織学的所見として, 腫瘍細胞は小腺腔を伴う中小の巣状に増殖する尿路上皮癌で, 腎実質へびまん性に浸潤していた. 術後約 8 ヵ月で胸水貯留および胸膜転移をきたし, その後 4 ヵ月で永眠された.

    結論 : Microcystic urothelial carcinoma は, きわめてまれで悪性度の高い腫瘍である. 出現細胞は小型で, 特徴的な所見を有さないため, 術前の尿細胞診で本疾患を推定することは困難である. 本疾患を, 悪性度が高く予後不良な腫瘍として認識しておくことは重要と考える.

短報
  • 刀稱 亀代志, 小島 啓子, 熊谷 直哉, 水上 浩哉, 黒瀬 顕
    2017 年 56 巻 5 号 p. 255-256
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/14
    ジャーナル 認証あり

    We report the case of a 22-year-old man with a ACTH-producing primary thymic atypical carcinoid, in whom tumor cells were detected in the pericardial fluid. Pericardial fluid cytology performed in a specimen obtained during surgery revealed tumor cells in clusters, with round to ovoid nuclei and enlarged nucleoli, a high nuclear/cytoplasmic ratio, and fine to coarse granular chromatin. Immunocytochemically, the tumor cells were positive for chromogranin A and ACTH. Based on these findings, we made the diagnosis of carcinoid. The diagnosis of carcinoid can be suspected from the cytological features, and immunocytochemical staining for neuroendocrine markers can yield a definitive diagnosis. However, assertive differentiation between typical and atypical carcinoid is difficult by cytology alone.

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