日本臨床細胞学会雑誌
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総説
悪性中皮腫の細胞像
―中皮腫細胞診評価ワーキンググループの報告をふまえて―
河原 邦光
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2018 年 57 巻 2 号 p. 101-108

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抄録

日本肺癌学会中皮腫細胞診評価ワーキンググループは, 上皮型中皮腫, 反応性中皮細胞の胸水剥離細胞診標本を用いて, 背景, 出現様式と集塊形態, 細胞相互の関係, 核, 細胞質等を検討し, 中皮腫の細胞診断の細胞形態のクライテリアを確立し, それを形態計測にて検証し, 統計学的に有意なものを明らかにした. さらに免疫細胞化学, p16FISH の検討を加え, 中皮腫診断基準を作成した. 細胞形態では, 背景の粘液様物質, Ⅱ型 collagenous stroma, hump 様細胞質突起を有する鋳型細胞, 細胞質の重厚感, 細胞質辺縁の不明瞭化, オレンジ G 好性細胞, 多核細胞の出現率の増加が有意な所見であった. 免疫細胞化学では, 癌腫との鑑別には中皮マーカーの calretinin, D2-40, WT1, 癌腫マーカーの CEA, MOC31, Ber-EP4, TTF-1, napsin A からそれぞれ 2 抗体の実施が必須であり, 反応性中皮細胞との鑑別には EMA, desmin, Glut-1, CD146 が有用であった. また, 反応性中皮細胞との鑑別には, FISH 法による p16 のホモ接合性欠失および免疫組織・細胞化学的な BAP1 の欠失の有無の検討の組み合わせが有用であった.

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