日本臨床細胞学会雑誌
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原著
肺腺癌由来の悪性胸水セルブロック検体を用いた EGFR 遺伝子変異, ALK, PD-L1 タンパク発現状態の検討
柳川 直樹渡邊 いづみ上野 大郷右近 秀平鈴木 裕植松 美由紀齋藤 明見緒形 真也
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2019 年 58 巻 5 号 p. 202-207

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抄録

目的 : 肺腺癌由来の悪性胸水と診断された細胞診セルブロック検体を用いて EGFR 遺伝子変異, ALK および PD-L1 タンパク発現状態を検討した.

方法 : 悪性胸水が疑われた 140 例から胸水が採取された. 細胞診セルブロックが作製され EGFR 遺伝子変異, 免疫組織化学を用いて ALK および PD-L1 タンパクの発現状態が検討された.

成績 : 肺腺癌由来の悪性胸水と診断された検体は 40 例であった. EGFR 遺伝子変異は 13 例 (32.5%) に認められ, ALK 免疫組織化学染色は 1 例 (2.5%) が陽性であった. PD-L1 免疫組織化学染色は高発現が 8 例 (20%), 低発現が 14 例 (35%), 無発現が 18 例 (45%) であった. 9 例の同一症例の組織検体に対し同様の検査を行った. EGFR 遺伝子変異, ALK 免疫染色の結果はセルブロックでの検討と一致していた. PD-L1 免疫染色に関しては 7 例で一致, 2 例で不一致だった.

結論 : 細胞診セルブロックを用いたバイオマーカーの測定は, EGFR, ALK については有用であった. PD-L1 についてはさらなる検討が必要であるが, 測定方法や判定基準を確立することにより治療の選択に有用になると考えられた.

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© 2019 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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