日本臨床細胞学会雑誌
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症例
膀胱原発形質細胞様型尿路上皮癌の 1 例
夏目 愛子裴 有安中 昂一松尾 梢恵富田 健一郎武村 民子熊坂 利夫
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2019 年 58 巻 6 号 p. 279-283

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抄録

背景 : 形質細胞様型尿路上皮癌 (plasmacytoid urothelial carcinoma, 以下 PUC) は尿路上皮癌のまれな亜型であり細胞診断が難しい. 当院において経験した膀胱原発 PUC の 1 例を報告する.

症例 : 80 歳代, 女性. 血尿, 排尿時痛のため当院受診. 膀胱鏡にて膀胱粘膜浮腫と尿道狭窄, CT にて膀胱壁の肥厚をそれぞれ認めた. 細胞診にて軽度の核腫大とクロマチン増加を伴う異型細胞を認めたが, 腫瘍か否か鑑別困難なため判定は 「異型細胞」 であり, その後の手術検体の組織診にて PUC と確定診断された. 組織診断を受け細胞診検体を再鏡検した結果, 異型細胞の N/C 比は背景の尿路上皮細胞のそれよりも高いと推測された. そこで PUC (本例) の細胞, 良性尿路上皮細胞, および通常型尿路上皮癌細胞の三者の N/C 比をそれぞれ比較した結果, PUC の細胞は通常型尿路上皮癌よりも N/C 比が低い一方, 良性尿路上皮細胞よりは N/C 比が高かった (p<0.001).

結論 : 細胞診検体にて PUC を疑う異型細胞が認められた場合, N/C 比の測定が診断に有用であると考えられた.

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© 2019 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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