日本臨床細胞学会雑誌
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特集 <本邦における「唾液腺細胞診ミラノシステム」の実際の運用と問題点>
唾液腺細胞診断におけるミラノシステムの有用性
—当院における前向き検証—
野上 美和子山元 英崇大久保 文彦小田 義直
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2020 年 59 巻 1 号 p. 38-46

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抄録

目的 : 最近提唱された唾液腺細胞診報告様式ミラノシステムの有用性を明らかにする.

方法 : 2018 年 1 〜 12 月に唾液腺穿刺吸引細胞診が施行された 89 例に対し, ミラノシステムを用いて前向き検証を行った. Risk of malignancy (ROM) は, 組織学的診断を得た 48 例で検証した.

成績 : ミラノシステム各カテゴリーの頻度, ROM と悪性例の組織型は以下の通りであった. Ⅰ. 不適正 14.6% (13 例), ROM 25% (1/4 例 ; 低悪性度粘表皮癌). Ⅱ. 非腫瘍性 14.6% (13 例), ROM 33.3% (1/3 例 ; T-zone リンパ腫). Ⅲ. 意義不明な異型 (AUS) 20.2% (18 例), ROM 30% (3/10 例 ; 濾胞性リンパ腫, 腺様囊胞癌, 唾液腺導管癌). Ⅳ. -A 良性腫瘍 30.3% (27 例), ROM 5.9% (1/17 例 ; 腺様囊胞癌). Ⅳ. -B 良悪性不明な腫瘍 (SUMP) 7.9% (7 例), ROM 40% (2/5 例 ; 腺様囊胞癌, 上皮筋上皮癌). Ⅴ. 悪性の疑い 2.2% (2 例), ROM 100% (2/2 例 ; 濾胞性リンパ腫, 多形腺腫由来癌). Ⅵ. 悪性 10.1% (9 例), ROM 100% (7/7 例 ; 転移性腫瘍 3 例, 唾液腺導管癌 (多形腺腫由来含む) 2 例, 腺房細胞癌 1 例, 腺様囊胞癌 1 例). 細胞診と組織診の良悪性一致率は 93.1 %であったが, 採取量が少ない検体や唾液腺周囲リンパ節病変で組織診断との乖離が認められた.

結論 : ミラノシステムは唾液腺細胞診断に有用であり, 特に AUS や SUMP は, 非腫瘍性か腫瘍性か, あるいは良性か悪性の判別に苦慮する病変を具体的に記述するのに役立つと考えられた.

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