2020 年 59 巻 5 号 p. 243-247
背景 : 類上皮血管内皮腫 (epithelioid hemangioendothelioma : EHE) は肺, 肝, 骨・軟部組織に好発する悪性血管系腫瘍であり, 多くは WWTR1-CAMTA1 融合遺伝子を有する. 今回われわれは, 胸膜に発生した EHE を経験した.
症例 : 62 歳, 男性. 右側の胸水貯留と全周性の胸膜肥厚があり, 臨床的に肺癌や悪性中皮腫が疑われたが, 生検の結果 EHE と診断された. 右胸膜肺全摘と心膜横隔膜合併切除が行われたが, 腫瘍の完全摘出は困難であった. 胸壁の残存腫瘍の増大や腹水の出現があり, 放射線・化学療法が行われたが, 術後 3 ヵ月で死亡した. 病理学的所見 : 上皮様の腫瘍細胞が小胞巣状, 索状に増殖し, しばしば細胞質内空胞を認めた. パラフィン包埋腫瘍組織を用いた分子遺伝学的検索にて WWTR1-CAMTA1 融合遺伝子が検出された. 細胞所見 : 淡い細胞質と偏在性の不整な核を有する円形ないし短紡錘形の異型細胞が出現していた. 少数の細胞に細胞質内空胞を認めた. 腹水セルブロックの免疫染色では, 血管内皮マーカーと CAMTA1 が陽性であった.
結論 : 胸膜発生の EHE は腺癌や悪性中皮腫との鑑別が問題となるが, 上皮様に加え紡錘形の異型細胞の混在や細胞質内空胞の存在を認識し, 体腔液検体のセルブロックを用いた免疫染色を併用することで診断可能と考えられる.