日本臨床細胞学会雑誌
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症例
臀部囊胞内容液の細胞診を契機として肺癌と診断された 1 例
掘井 吉人藤原 万記子宮川 朋子辰岡 浩樹松岡 宏樹大西 隆仁
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2020 年 59 巻 5 号 p. 237-242

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抄録

背景 : 臀部囊胞内容液の細胞診を契機に肺癌の発見にいたった症例を経験したので報告する.

症例 : 60 歳代, 男性, 肛門周囲に疼痛を伴う膿瘍を主訴として受診. 細胞像は壊死性背景に大型核で核型不整, クロマチンの増量や核小体の目立つ異型細胞が多数みられ, 多核の細胞も認めた. 後に実施された組織診断では N/C 比の高い核型不整な異型細胞の集簇を認めた. 免疫組織化学の結果, 癌の転移が疑われたが, 原発巣の推定にはいたらなかった. CT 検査の結果, 肺に占拠性病変が発見され, 気管支擦過細胞診を行った. 結果は臀部腫瘍と類似した異型細胞がみられた. PET 検査では肺, 肺内リンパ節, 後腹膜, 鼠径リンパ節に異常集積像を認め, 肺癌の多発転移と診断された. 追加で行った免疫組織化学の結果, 肺非小細胞癌と診断された.

結論 : 臀部囊胞内容液と気管支擦過材料の細胞像の比較や免疫組織化学を実施することで, 原発巣の推定にいたった. 治療方針決定を目的に実施された分子病理学診断では PD-L1 に高発現を示した. 本患者にはペムブロリズマブが著効し, 肺, 臀部, リンパ節ともに腫瘍は縮小傾向にあり, 経過は良好である.

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© 2020 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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