日本臨床細胞学会雑誌
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原著
甲状腺穿刺吸引細胞診における液状化検体細胞診 ThinPrep® の有用性について
青木 弘安岡 弘直金田 敦代郡司 有理子福田 沙織島田 香築山 あゆみ辻 洋美辻本 正彦
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2021 年 60 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

目的 : 甲状腺穿刺吸引細胞診における ThinPrep® の有用性と細胞像の特徴を検討した.

方法 : 従来法のみで診断した 358 結節と ThinPrep® のみで診断した 308 結節を対象とし, 細胞診断結果の比較, 組織診断結果との対比および ThinPrep® の細胞像の特徴を検討した.

成績 : 検体不適正率は従来法 18.7%, ThinPrep® 9.7%で, 検体不適正率は統計学的に有意に減少した. 従来法の感度は 92.5%, 特異度は 100%で, ThinPrep® の感度は 86.7%, 特異度は 100%であった. ThinPrep® の細胞像は背景がクリーンで, 細胞集塊とコロイドには断片化がみられた. クロマチンは明瞭で, 乳頭癌では核溝や核内細胞質封入体が容易に観察できた. 散在性細胞は集団を形成する傾向にあり, また細胞集塊周囲に細胞が塗抹されにくい傾向があった.

結論 : ThinPrep® を使用した甲状腺穿刺吸引細胞診の診断精度は従来法と遜色がなく, 検体不適正率が減少し, 標準化された標本作製が可能で, 検鏡者の負担が軽減するなどさまざまな利点があり, 有用であると考えられた. 細胞像は全体的に従来法の見方を大きく変更せずに診断可能であった.

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