日本臨床細胞学会雑誌
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原著
アルギン酸ナトリウムFFPEセルブロック法における核酸品質と蛋白発現
—ホルマリン固定プロセスの違い—
村田 和也河原 明彦安倍 秀幸髙瀬 頼妃呼吉田 友子福満 千容篠田 由佳子牧野 諒央内藤 嘉紀秋葉 純
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2021 年 60 巻 1 号 p. 15-21

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抄録

目的 : アルギン酸ナトリウムを用いたホルマリン固定パラフィン包埋セルブロック法が, 核酸品質と蛋白発現に及ぼす影響についてホルマリン固定条件の違いを通して検討した.

方法 : 10%中性緩衝ホルマリンおよび 10%ホルマリン (非緩衝) を用いて培養細胞を異なる時間で固定後, アルギン酸ナトリウムを用いて formalin fixed paraffin embedded (FFPE) セルブロックを作製した. これらのすべてから DNA integrity number (DIN) 値を測定した. 免疫細胞化学に関しては, 染色性や発現率について評価した.

成績 : ホルマリン固定された培養細胞は, 時間依存的に DNA 品質が低下を示し, 10%中性緩衝ホルマリンで 3 時間および 6 時間固定された培養細胞は, 24 時間以上固定された培養細胞に比べ, DNA は高品質であった. サイトケラチン抗体において, 10%中性緩衝および非緩衝ホルマリンで 3 時間および 6 時間固定された培養細胞は良好な染色性を認め, 24 時間以上固定された培養細胞の Ki-67 核発現割合は低発現を認めた.

結論 : アルギン酸ナトリウム FFPE セルブロックにおいて 10%中性緩衝ホルマリンで 3〜6 時間固定された細胞検体は, 比較的高品質な DNA と安定した蛋白発現を得ることができる.

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