日本臨床細胞学会雑誌
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液状化細胞診検体を用いたコンパニオン診断の試み
—精密医療 Precision Medicine における細胞診断の役割—
田中 良太
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2021 年 60 巻 2 号 p. 75-85

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抄録

わが国ではがん対策推進基本計画に基づいて, 遺伝子パネル検査の導入や精度管理体制の構築が課題となっている. その中で患者の治療に直接影響する医薬品の効果や副作用を, 投薬前に予測するためのコンパニオン診断は大変重要である. 一方, 液状化細胞診 (LBC) 検体はコンパニオン診断を前提として, 取り扱われた経緯がないのが現状である. そこでわれわれは LBC 検体を用いたコンパニオン診断の実行可能性について 2 つの検証実験を行った. 1 つ目は肺癌切除標本から腺癌 40 検体を対象として擦過材料を用いて検討した. サイトリッチTM レッド保存液で固定した後に EGFR/KRAS 遺伝子変異, その後 ALK/ROS1 融合遺伝子の解析を施行した. 2 つ目は実際の気管支鏡で用いた器具の洗浄液をサイトリッチTM レッド保存液で固定し, コバス EGFR 変異検出キット v2.0TM で解析した. LBC 検体での検出率は 40% (8/20) で, 同時に採取した FFPE 組織材料の 35% (7/20), 血漿材料の 20% (4/20) と比較して, LBC 固定後のセルブロックでは良好な結果であった. 今後 LBC 検体による効率的な細胞回収と検体処理を提示することは, コンパニオン診断の精度をさらに改善する一助になると考える. そして今後の精密医療の発展と効率化への関与が期待される.

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