2021 年 60 巻 2 号 p. 86-93
目的 : 癌性腹膜炎, 腹水貯留症例において治療方針決定のために原発臓器の推定は重要である. 今回, 腹水貯留を認め腹水細胞診およびセルブロック法により原発臓器を推定し, 治療方針を決定した症例について検討した.
方法 : 2017 年 1 月から 2018 年 4 月までに癌性腹膜炎の診断で腹水を採取した 5 例を対象とした. 腹水細胞診陽性例ではセルブロックを作製して免疫組織化学的染色を行い, 原発巣を推定した. 各症例の治療方針, 治療方針決定までの日数, 予後などを検討した.
成績 : 推定診断は卵巣癌 4 例, 大腸癌 1 例. 卵巣癌の 4 例中 3 例が化学療法を選択した. 大腸癌, 卵巣癌のそれぞれ 1 例が緩和医療を選択した. 当科初診から治療方針決定までの期間は 7〜13 日間 (平均約 10.6 日間) であった.
結論 : 癌性腹膜炎, 腹水貯留症例において腹水セルブロック法は, 高齢者や試験開腹術が困難な進行症例では低侵襲かつ迅速に原発臓器を推定し, 適切な診療科へ早期に紹介できる有用な検査である.