2022 年 61 巻 2 号 p. 129-135
背景:前立腺小細胞癌は発生頻度の低い腫瘍で,腫瘍細胞が尿中に出現することはさらにまれである.今回,前立腺癌に対する内分泌療法中に尿中に小細胞癌を疑う異型細胞を認め,前立腺原発小細胞癌と診断された症例を経験した.
症例:60 歳代,男性.近医で PSA 高値,画像所見から前立腺癌と診断され,当院にて内分泌療法が開始された.13 ヵ月間内分泌療法が施行された結果,PSA 値は低下し,画像上も前立腺原発巣,転移巣ともに縮小・消失した.24 ヵ月後,尿細胞診で小細胞癌を疑う異型細胞を認めたため前立腺生検が施行され,小細胞癌と診断された.尿細胞診像は,きれいな背景に小型で N/C 比の高い異型細胞が孤立散在性あるいは集塊で出現していた.核は類円形から不整形を呈し,増量した顆粒状クロマチンを有していた.一部には変性を伴った核濃染性の細胞も認められた.集塊には木目込み配列やロゼット様構造が観察された.
結論:前立腺癌に対する内分泌療法中に,尿細胞診で N/C 比の高い異型細胞を認めた場合,前立腺癌の形質転換を疑い小細胞癌を考慮することが重要である.