2022 年 61 巻 2 号 p. 136-140
背景:小児の髄膜黒色腫症はきわめてまれな疾患である.今回われわれは髄液中にメラニン色素を含有する異型細胞を認めた髄膜黒色腫症の小児の 1 例を経験したので報告する.
症例:4 歳,男児.起立困難,嘔吐,意識変容を主訴に脳炎疑いで入院.入院後,MRI 読影にて脳軟膜メラノーシスを疑う所見との指摘あり,髄液細胞診および脳生検が施行された.髄液中にはメラニン色素を含有する異型細胞の出現がみられた.脳生検ではクモ膜下にメラニン色素を含有する異型細胞が増殖し,脳実質への浸潤がみられ,髄膜黒色腫症の診断にいたった.
結論:髄膜黒色腫症はきわめてまれな疾患で,症状や画像所見は非特異的で髄膜炎などとの鑑別が困難なことがあり,髄液細胞診が診断において重要な役割を担っている.