2022 年 61 巻 4 号 p. 257-262
背景:今回,子宮頸部細胞診の AGC(atypical glandular cells)が契機となり,無症状ながら卵管癌と診断しえたまれな症例を経験したので報告する.
症例:毎年子宮がん検診を受けている女性で,66 歳のときにはじめて子宮頸部細胞診異常 AGC を指摘された.コルポスコピーでは UCF,子宮頸部細胞診の再検査では NILM,子宮内膜細胞診は疑陽性(suspicious),HPV 検査は陰性であった.超音波検査では子宮内膜の軽度肥厚を認めるものの付属器腫瘤や腹水貯留は認めなかった.子宮内膜全面掻爬でも異常はなかったが,3 ヵ月後の細胞診でも異常(子宮頸部 AGC,子宮内膜疑陽性(suspicious))がみられた.腺系の腫瘍マーカーは基準値内で,MRI 検査では悪性所見は認めず,腹腔鏡手術で腹腔内観察を行ったところ卵管采,後腹膜に乳頭状腫瘤が確認され卵管癌の診断に至った.
結論:検診での HPV 単独検査の導入も検討されているが,改めて,細胞診診断の多彩な疾患を診断できる点から,細胞診の有用性が示唆された.