日本臨床細胞学会雑誌
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症例
口蓋原発明細胞型筋上皮癌の 1 例
村松 邦昭橘 充弘田中 四郎大石 直樹廣田 賢良栗田 佑希堤 寛
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2022 年 61 巻 4 号 p. 263-270

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抄録

背景:筋上皮癌は筋上皮腫の悪性型とみなされるまれな唾液腺腫瘍であり,その細胞像の報告は少ない.今回われわれは,組織診断で明細胞型筋上皮癌と診断された 1 例を経験したので報告する.

症例:70 歳代,男性.患者は左側上顎歯肉部の急速な腫脹を主訴に当院口腔外科を受診.MRI 検査では 53×44×30 mm 大の腫瘤が認められた.臨床的に悪性が疑われ,口腔擦過細胞診および生検が施行された.擦過細胞診では,楕円形~短紡錘形細胞からなる腫瘍細胞が集塊状に出現し,腫瘍細胞の境界は不明瞭で,裸核様細胞がしばしば認められた.生検組織では,グリコーゲンに富む小型明調細胞が筋上皮系マーカーに陽性で,筋上皮細胞への分化を示す腫瘍とみなされた.臨床像,小壊死の存在と Ki-67 標識率 12%より,明細胞型筋上皮癌と最終診断した.腫瘍は重粒子線治療でいったんは消失したが,2 年後に再発した.

結論:口腔擦過細胞診において,筋上皮癌の細胞型推定に難渋することが多い.小型裸核様異型細胞や小型短紡錘形細胞が単調に出現し,明確に扁平上皮癌を否定できる場合には,明細胞型筋上皮癌を含めた腫瘍性筋上皮細胞を伴う唾液腺腫瘍を念頭におく必要がある.

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