2022 年 61 巻 6 号 p. 424-430
背景:今回,われわれは頸部発生し甲状腺への直接浸潤を認めた脱分化型脂肪肉腫の 1 例を経験したので報告する.
症例:60 歳代,男性.嗄声を主訴とし近医を受診し,甲状腺腫瘍が疑われ当院への紹介受診となった.画像検査で甲状腺左葉下極背面に甲状腺癌を疑う結節を認め,気管や食道壁への浸潤が疑われた.穿刺吸引細胞診では,紡錘形細胞からなる結合性の強い束状集塊と裸核様の細胞の出現がみられた.核形は紡錘形に加え大型類円形核など多彩性を認めた.核クロマチンは繊細で核小体は目立たず,非上皮性悪性腫瘍が考えられた.その後,甲状腺左葉切除および周囲組織の合併切除,頸部リンパ節郭清が施行された.組織学的には,核腫大した桿状核を有する紡錘形細胞が渦巻き状や束状に錯綜して増生しており,核異型は顕著で核分裂像も観察された.周囲の脂肪細胞にも異型がみられ,免疫染色で MDM2 と CDK4 が陽性であったことから,甲状腺外の軟部組織に発生した脱分化型脂肪肉腫と診断した.
結論:甲状腺とその周囲組織に紡錘形細胞からなる腫瘍を認め,非上皮性腫瘍の可能性が示唆される際には,脂肪肉腫も鑑別の一つとして考える必要がある.