2023 年 62 巻 2 号 p. 122-125
背景:甲状腺未分化癌の発生頻度は数%程度と低く,同一の細胞診スライドに未分化癌と転化前の癌が共存してみられることはさらにまれである.本稿では乳頭癌から未分化癌への転化を同一の細胞診スライドで診断できた症例について報告する.
症例:84 歳,女性.甲状腺穿刺吸引細胞診を施行し BD サイトリッチTM法により標本を作製した.同一標本中に乳頭癌と未分化癌の 2 つの所見を認め,乳頭癌の未分化転化と判定した.
結論:同一の細胞診スライドに乳頭癌と未分化癌の成分が出現する例は文献的にも報告はない.乳頭癌と同時に出現する未分化癌成分を見落とさず,スライド全体を入念に観察すべきことを示す教訓的な症例である.