日本臨床細胞学会雑誌
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症例
左上頸部の皮下に発生した異型脂肪腫様腫瘍の穿刺吸引細胞診断に Giemsa 染色が有用であった 1 例
佐々木 健司中嶋 愛海羽原 幸輝神田 真規米原 修治
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2023 年 62 巻 2 号 p. 116-121

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抄録

背景:異型脂肪腫様腫瘍/高分化脂肪肉腫は脂肪細胞への分化を示す中間群腫瘍である.ここでは,左上頸部の皮下に発生した異型脂肪腫様腫瘍について穿刺吸引細胞所見を中心に報告する.

症例:40 歳代後半,男性.左上頸部腫脹の精査を目的として当院耳鼻咽喉科に紹介された.穿刺吸引細胞診では,核の腫大や多形性を示す脂肪細胞と間質細胞よりなっており,異型脂肪芽細胞や二核細胞を見出した.また,異型間質細胞に接して肥満細胞が出現していた.細胞種類の同定や異型脂肪芽細胞の把握はパパニコロウ染色標本よりギムザ染色標本のほうが容易であった.抗 MDM2 抗体を用いた免疫細胞化学的染色では異型細胞に部分的に陽性所見を示した.病理組織学的にも異型脂肪腫様腫瘍と診断された.

結論:脂肪性腫瘍の穿刺吸引細胞診では,ギムザ染色標本が診断に有用であると考える.

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