2024 年 63 巻 2 号 p. 73-78
グローバルな疾病構造の変化により,病理診断・細胞診の需要が高まっている.子宮頸がんはワクチン・検診・治療という費用対効果の優れた予防策があることから世界がその排除を宣言した初めてのがんとなった.世界では,検診手法については,人材育成に時間がかかり精度管理の難しい細胞診から,急速に安価になりつつある HPV 検査が推奨されるようになった.本稿では検診制度整備途上のカンボジアでの活動紹介,日本の細胞診による検診制度の整備と人材育成,細胞診による検診制度が確立された国々で HPV 検査の導入について概観した.
HPV 検査を検診に取り入れている国では,細胞診は一次検診としてではなく,一次検診陽性者の精検(トリアージ)として実施であり対象者数は少なく,精度管理がさらに重要になる.検査技師は診断可能な標本作成のプロフェッショナルとして活動できる体制を組むことがまず必要になってくる.グローバルヘルスの活動は日本の経験を伝える一方向のものではない.日本とは病理医・検査技師の役割が異なることを念頭に置くことで,日本の課題への解決策もみえてくるのではないだろうか.