2024 年 63 巻 2 号 p. 91-96
背景:女性乳癌の腹水陽性の頻度は浸潤性小葉癌>浸潤性乳管癌の順である.腹水の陽性塗抹標本を細胞転写法で検討して原発巣の組織型の推定が可能である.
症例:50 歳代,女性.乳癌の既往歴なし.数日間下部腹痛,嘔吐,下痢が続き近医の紹介で当院救急外来受診.当院での CT 検査,腹水細胞診,右乳腺生検,胃生検により右乳腺原発浸潤性小葉癌の多臓器転移と診断された.悪性細胞陽性の腹水塗抹標本は細胞転写による免疫染色で浸潤性小葉癌の転移と確認された.患者は十分な病状説明を受けて隣県のがん診療連携拠点病院に転院した.
結論:腹水塗抹標本の細胞転写法による検討は患者に不要な負担をかけない有用な方法である.