2024 年 63 巻 4 号 p. 159-166
目的:乳癌における術前化学療法(NAC)の治療効果は術後病理組織学的に判定されるが,リンパ節穿刺吸引細胞診(LN FNA)を用いた細胞学的検討や治療効果予測は報告がない.そこでわれわれは,NAC の治療効果予測を目指し,LN FNA の転移細胞の細胞学的検討を行った.
方法:2018~2021 年に,NAC 後に外科的切除が施行されたトリプルネガティブ乳癌のうち,術前 LN FNA が悪性であった 17 例を対象とした.
成績:組織学的治療効果は Grade(G)0 が 1 例,G1 が 8 例,G2 が 2 例,病理学的完全奏効(pCR)が 6 例であった.
背景所見は,壊死物質を G1,2 の 10 例中 7 例に認め,pCR の全例で認めなかった.転移細胞の出現様式は小集団主体であった 8 例中 7 例が G0,1 で,治療効果の低い症例に多かった.散在性細胞は,G0~2 が 9 例,pCR が 1 例で,治療効果の低い症例に多かった.大集団主体の出現は 9 例で,治療効果の高い症例に多くみられた.転移細胞の細胞異型には治療効果との関連は認めなかった.
結論:LN FNA の細胞学的所見は,NAC の治療効果予測に有用であり,最適な治療法を選択するための一助となりうると期待される.