日本臨床細胞学会雑誌
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原著
超音波内視鏡下穿刺吸引法施行時のオンサイト迅速細胞診におけるメンブレンフィルター法の有用性
小原 勇貴髙橋 美穂藤川 沙織鍋島 哲笹生 俊一
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2024 年 63 巻 4 号 p. 167-176

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抄録

目的:超音波内視鏡下穿刺吸引法施行時のオンサイト迅速細胞診(rapid on-site cytologic evaluation:ROSE)におけるメンブレンフィルター法(以下フィルター法)の有用性を検討した.

方法:超音波内視鏡下穿刺吸引法が施行された膵腺癌 82 例と胃粘膜下腫瘍 36 例を対象に,ROSE 標本作製に圧挫法を用いた症例群とフィルター法を用いた症例群で,作製標本枚数と,作製標本枚数のうち腫瘍細胞を認めた標本枚数の割合,腫瘍細胞数を比較した.ROSE 後の残検体より作製したセルブロック標本における有意の組織の出現率も比較した.

成績:フィルター法を用いた症例群のほうが圧挫法を用いた症例群に比べ,作製標本枚数が有意に少なく,かつ腫瘍細胞を認めた標本枚数の割合が有意に高かった.フィルター標本のほうが圧挫標本よりも腫瘍細胞数が有意に多かった.セルブロック標本における有意の組織の出現率は,フィルター法を用いた症例群のほうが圧挫法を用いた症例群より高かった.

結論:超音波内視鏡下穿刺吸引法の ROSE にフィルター法を用いることで,有意の細胞成分が採取されているか否かの判断が容易になり,組織学的検索にも耐えうるセルブロック標本を作製できた.

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