抄録
【目的】近年、NICUにおけるDevelopmental Careの重要性が言われ、なかでも極低出生体重児に対しポジショニングを導入する施設が増えている。児のポジショニングの影響は、第35・36回当学会にて覚醒レベルの有意な低下等を、他施設においても新生児期の筋緊張への影響を報告しているが、いづれも短期的効果を示すものであり、ケア本来の目的である発達の長期効果に関する報告は稀である。そこで、修正1歳6ヵ月時の下肢の角度と発達経過について調査した。【対象】当院NICUに在院経験のある極低出生体重児で、周産期センター開設(2000年9月)前のポジショニングを導入していなかった群(非ポジショニング群:男10名女8名・平均在胎週数28.7±3.0週・平均出生体重1125±301.0g・調査時平均身長78.3±2.6cm・平均体重9.6±1.1kg)と、センター開設後にポジショニングを導入した群(ポジショニング群:男9名女9名・平均在胎週数28.8±2.7週・平均出生体重1045±287.9g・調査時平均身長78.1±4.0cm・平均体重9.7±1.5kg)各18例である。両群で在胎週数・出生体重・NICU在院期間・呼吸器挿管期間、調査時における修正年齢・身長・体重に有意差はなかった。なお、修正1歳6ヵ月健診において新版K式の姿勢-運動、認知-適応、総合点が正常な症例のみ選定した。【方法】入院直後から退院前までポジショニング(良肢位保持と定期体位変換)をしなかった群とポジショニングをした群において、修正1歳6ヵ月健診時に、両股関節外旋・足部外転(toe out)角度と両踵間(heel line)距離、両股関節の内外旋角度を計測し、母子手帳を元に聞き取りにて四つ這いと独歩の開始月齢を調査した。なお、両群においてtoe out角度・heel line距離・両股関節内外旋角度を3回計測した平均、発達月齢の平均をStudent-t検定により比較した。【結果】toe out角度は、非ポジショニング群で28.5±11.4°、ポジショニング群で19.7±8.9°とポジショニング群の方が有意に角度が小さかった。heel line距離は、非ポジショニング群で11.2±1.9cm、ポジショニング群で9.7±1.1cmとポジショニング群の方が有意に距離が短かった。両股関節内外旋角度は、内旋で非ポジショニング群は45.6±10.0°、ポジショニング群は36.1±7.0°、外旋で非ポジショニング群は49.4±5.4°、ポジショニング群は40.6±5.4°と、内外旋ともにポジショニング群の方が有意に角度が小さかった。四つ這いと独歩の開始月齢は、四つ這いで非ポジショニング群は8.3±1.5ヵ月、ポジショニング群は8.7±1.9ヵ月、独歩で非ポジショニング群は13.2±1.5ヵ月、ポジショニング群は13.0±1.8ヵ月と、いづれも有意差はなかった。【考察】ポジショニングにより、修正1歳6ヵ月時の下肢の外旋外転角とwide baseは改善され、股関節周囲筋の筋緊張も向上した。それらが発達経過に影響するかどうかは、さらに症例を増やし、長期的なフォローが必要と思われる。