2024 年 63 巻 6 号 p. 315-320
背景:胸部 SMARCA4 欠損未分化腫瘍は重喫煙歴の成人男性に好発するまれな腫瘍であり,胸郭内に大きな腫瘤を形成する.われわれは胸水穿刺液セルブロックを用いて診断した本腫瘍の一例を報告する.
症例:重喫煙歴を有する 80 歳代,男性.CT で左肺門から縦隔にかけて広がる巨大腫瘤および胸水貯留を指摘され,左胸水穿刺を施行した.細胞診では細胞結合性に乏しい腫瘍細胞が孤立散在性に,または細胞結合性の弱い集塊を形成して出現していた.細胞診,セルブロック HE 標本ではラブドイド細胞が認められた.免疫細胞化学染色では,腫瘍細胞は cytokeratin AE1/AE3,TTF-1,claudin-4,E-cadherin 陰性であった.SMARCA4,SMARCA2 の発現は消失し,SMARCB1 は保たれていた.幹細胞マーカーの CD34 はびまん性に,SOX2 は部分的に,SALL4 は散在性に陽性であった.以上より,本腫瘍を胸部 SMARCA4 欠損未分化腫瘍と診断した.
結論:胸部 SMARCA4 欠損未分化腫瘍は高悪性度であり,受診時にすでに全身状態が悪いことも多い.組織検体の採取が困難であっても,胸水穿刺液のみで本腫瘍を診断できる可能性を示した.