日本臨床細胞学会雑誌
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症例
腎細胞癌との鑑別を要した腎盂原発肉腫様尿路上皮癌の 1 例
藤澤 宏樹倉岡 和矢福原 詩織菅 亜里紗山本 利枝齊藤 彰久谷山 清己
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2025 年 64 巻 4 号 p. 182-187

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抄録

背景:腎細胞癌との鑑別を要した腎盂原発肉腫様尿路上皮癌(sarcomatoid urothelial carcinoma:SUC)の 1 例を経験したので報告する.

症例:70 歳代,男性.CT 検査にて左腎上極に 61 mm 大の腫瘤,リンパ節転移,多発骨転移および多発肺転移を認め,左腎盂癌が疑われた.喀痰細胞診では転移性腎細胞癌と診断され,後日,自然尿が提出された.細胞像は類円形核で明瞭な核小体を有する大型の腫瘍細胞が散見された.ほとんどが好酸性の細胞質を有する形質細胞様細胞であり,一部で紡錘形核を示す肉腫様細胞を認めた.組織像では広範な肉腫様腫瘍細胞の増生がみられた.一部では高異型度尿路上皮癌や形質細胞様の像がみられた.免疫組織化学的検索では,p63,CD10,Vimentin,CK 7 が陽性,PAX-8 陰性であった.腎盂原発 SUC と診断された.

結論:喀痰細胞診にて腎細胞癌との鑑別を要する症例であったが,p63 や PAX-8 の免疫組織化学染色所見や典型的腎細胞癌成分を欠くことより,腎盂原発 SUC と診断された.

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