日本臨床細胞学会雑誌
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症例
リンパ脈管筋腫症の 1 例
坂口 碧林 玲匡岸本 浩次田邉 一成藤原 正親柴原 純二
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2025 年 64 巻 4 号 p. 188-194

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抄録

背景:リンパ脈管筋腫症(lymphangioleiomyomatosis:LAM)は,平滑筋様細胞(LAM 細胞)が肺や体軸リンパ節で増殖し,肺で多発性の囊胞を発生させる,非常にまれな疾患である.今回われわれは,リンパ脈管筋腫症の 1 例を経験したので報告する.

症例:患者は 20 歳代,女性.腹部膨満感と朝のみに出現する胸痛を訴えた.胸腹部 CT・MRI にて,両側胸水と腹水の貯留,後腹膜の囊胞形成が認められた.また,肺に数 mm 程度の小囊胞を多数認めた.腹・胸水および後腹膜の囊胞状病変内容液の細胞診検査を実施し,細胞像とセルブロックを用いた免疫組織化学染色により LAM 細胞を同定した.後腹膜リンパ節針生検でも LAM 細胞が確認され,臨床所見と併せて LAM の診断に至った.

結論:特徴的な画像所見を呈する患者の場合,胸水や腹水中の LAM 細胞クラスターを同定することで LAM の診断が可能である.侵襲的な組織検査を回避しうるため,本疾患の細胞所見や診断に必要な免疫組織化学染色に精通することが重要である.

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