日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部微小浸潤癌の診断
特にその細胞像と組織所見の関連について
木村 憲三佐々木 秀敏手島 研作服部 浩池田 正典堀井 高久野田 起一郎
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1981 年 20 巻 2 号 p. 185-192

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抄録
初期頸癌の細胞像と組織像を対比検討し, 次の結論を得た.
1) 微小浸潤癌の細胞像は, 深層型悪性細胞の他に中表層型悪性細胞が出現し, また, 悪性細胞 相互に多彩性が認められ, さらに, 小数ながらbizarre cell, cellular detritusが出現する.
2) 細胞診上出現するcellular detritusは, 組織像にみられるnecrotic substanceやparakeratosisと相関性がある.
3) 細胞診上中表層型悪性細胞が出現していた症例のなかには, 組織学的に分化傾向を示さないが, 表層から離れてfocal differentiationを有するものがあり, スクレーパーによりかなり深部の細胞を擦過採取してくることが示唆された.
4) 油浸観察の結果, 微小浸潤癌では, 粗顆粒状不均等分布クロマチンおよび核縁の全周にわたる不整所見が出現し, 悪性細胞のうち2μ以上の核小体が10%以上, インディアナインク状クロマチン10%以上, 核縁の一部不整のものが25%以上にみられた. このことは高倍率観察所見を加味することによって, 微小浸潤癌の細胞学的診断の精度をより向上させうることを示している.
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