日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
IUD装着症例の子宮内膜スミアにみられた特徴ある細胞像
細胞採取法, 採取時期による差異について
塚原 和夫
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 20 巻 2 号 p. 193-202

詳細
抄録

IUD使用患者141名の内膜スミアを挿入前, 挿入後, 抜去後にIUD付着内膜タッチ, 吸引, およびブラッシュ法を用いてそれぞれの細胞像を比較検討した。
出現した細胞は多核巨細胞, Psammoma body内膜修復様細胞と異型腺型細胞の4種類がみられた.前2者は挿入前と抜去後ではほとんどみられず, 挿入後と抜去時に特徴的にみられた. 細胞採取法のちがいではIUDタッチ法により多核巨細胞, Psammoma body, 内膜修復様細胞, 異型腺型細胞がそれぞれ72.4%, 26.3%, 32.8%, 20.7%出現し, 吸引とブラッシュ法ではそれぞれ23.2%, 18.7%, 32.1%, 18.4%であって, それらの問に差がみられた.
月経周期を前, 中, 後半に分けて4種類の細胞の推移をみたが, 特徴的所見はみられなかった.IUD装着年数と細胞像との関連では, 長期間挿入例の一部のものを除き著明な所見は得られなかった.
一部の長期装着婦人で子宮内膜組織像に内膜増殖症を示した症例があり, 長期にIUDを使用した場合には内膜の組織学的検査はそのneoplasticchangeを知る上にぜひ行うべきである.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top