日本臨床細胞学会雑誌
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自動スクリーニングに適した腟スミアの作製法, 特に好中球等の除去について
岸上 義彦森下 哲雄野田 定橋本 良夫
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1981 年 20 巻 3 号 p. 523-531

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抄録
Feulgen反応で染色した腟smearを完全自動でscreeningする装置, Auto-cyto-screenerを大阪府立成人病センターで開発した. しかし, 本装置を実用化するためには, 完全に分散した細胞を均一に分布するよう塗抹標本を作製しなければならない. このような塗抹標本の作製法について, すでに何回か報告しているが, いまだ, 完成の域に達していない. 今回, 下記の2点について再検討し, 改良することができたので報告する.
1) 自動細胞診screening装置を実用化するためには, 腟smearから好中球, 赤血球, 細菌等を除去することが望ましい. この目的のため, 一層または多層のFicoll液の上にsmear suspension を重層し, 遠心ならびに静置沈澱の双方を試みた. その結果, 比重1.024のFicoll液の上に等量のsmear suspensionを重層し, 30分間静置後, 下層の細胞を全部回収する一層静置沈澱法がもっとも有効であることが判明した.
2) Auto-smearによる遠心塗抹法について再検討した. その結果, 細胞ことに扁平上皮細胞の剥落を防ぐため, 遠心用cellとslide glassとの問には, ぜひ濾紙を使用すべきであり, さらに, 濾紙の強い吸引力で塗抹面上の細胞配列を乱すのを防ぐためには, smear suspensionをcellに注入した直後に遠心すべきであることが判った.
slide方式の細胞診自動化を実現するためには, 以上の2点の他に, さらに, smear作製法を改良してゆく必要があると思われる.
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