最近経験した子宮頸癌Ia期の14症例を細胞診と組織学的所見とを対比して再検し, Ia期癌の細胞像の特徴について組織学的見地から検討した. Ia期癌の細胞診における最も共通する所見は合胞状の腫瘍細胞の集団の存在と中表層型悪性細胞の混在であった. これらは組織学的に認められる労基底型腫瘍細胞の増殖の強さと浸潤部位における細胞分化を反映しているものと思われた. Cellular detritusは腫瘍細胞群の中心性壊死や遊走細胞浸潤と密接に関連し, 深達度が進行するにつれて出現していた. 腫瘍細胞の多形性や不均等粗顆粒状のクロマチンパターンをもつ腫瘍細胞の核所見も比較的多く認められ, これらは補助診断的価値を有するものと考えられた.