抄録
子宮頸部高度異型上皮26例, 上皮内癌33例および微小浸潤癌21例を対象として, 形態学上の核異型と核DNA量との関連性を検討した.
1) Papanicolaou標本上の核異型は, クロマチンの粗大顆粒状凝集が上皮内癌では30%, 微小浸潤癌では75%で後者が有意に高く, 鑑別診断上の手がかりとなることを確かめた.
2) 核径の測定結果より, 高度異型上皮と上皮内癌は, 類似した分布パターンを示し, これによる両者の鑑別は困難であるが, 微小浸潤癌では, さらに大きな核を有する細胞の出現する傾向を認めた.
3) 核DNA量の測定成績から, 高度異型上皮, 上皮内癌および微小浸潤癌の分布パターンを比較検討した結果, これを鑑別のパラメーターとすることは困難であった.他方, Hematoxylin染色核質量を測定した結果より, 微小浸潤癌細胞は, 他の二者に比べて高い核質量をもつ細胞を含んでいることを確かめたので, これが, さきに述べた上皮内癌細胞との形態学的差異を示す根拠となっていることが示唆された.