抄録
I. U. D. 挿入患者125例について, 着床期にI. U. D. 抜去を行い, そのスタンプスメアを採取した. さらに, このうちの80例については子宮内膜組織診を施行し, スタンプスメアの細胞学的所見と比較しながら子宮内膜の組織学的変化を, おもにI. U. D. の避妊機序との関連より検討した. スタンプスメアはPapanicolaou染色を, また採取した内膜にはH-E染色, 渡辺鍍銀法の各染色を施行し, 検鏡した.
細胞学的検討ではPapanicolaou分類にてclass I 87例, class II 38例で, class III以上の症例は認められず, さらに挿入期間との相関はなかった. 出現した細胞のうち, 巨細胞型組織球, 間質細胞の増加を検討した結果, 前者は全体の50%, 後者は91%に認められた. このことは, I. U. D. に対する内膜の組織反応の著明なことを示すと同時に, 線維芽細胞を初めとする間質細胞の著しい増加を示し, 注目された.
一方, 内膜の組織学的観察では, 異常内膜の出現は全体の70%であった. 特に, 鍍銀染色による内膜の間質結合織の変化を検討した結果, 約85%の高率にその増生を認めた. このことは細胞学的検討の結果ともよく一致し, 避妊機序との深い関連をうかがわせた.