日本臨床細胞学会雑誌
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子宮内膜細胞におけるアルカリホスファターゼの酵素組織化学的観察
とくに性ホルモンとの関係について
鈴木 光明小沼 誠一小川 雅利玉田 太朗
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1982 年 21 巻 4 号 p. 647-652

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抄録

酵素組織化学的手法を細胞診に応用し, 子宮内膜に存するalkaline phosphatase (ALP) 活性の月経周期に伴う変動を観察した. 同時に血中性ホルモン値を測定し, 当酵素活性に及ぼす性ホルモンの影響を検討した.
その結果, 内膜のALP活性は, 増殖期初期には弱く, その後月経周期に伴い漸次その活性を増し, 排卵日, もしくはそれに遅れて3目目頃にpeakとなり, その後分泌期中期頃までは比較的高活性を維持するが, 後期に到り再び弱活性となることが確認された. また血中性ホルモン値との関連では, 活性がpeakとなるのは血中estradiol値のpeakから約2日後であり, またprogesterone値が高値を示す分泌期中期からやや遅れて活性は低値となることが判明した. すなわち, 当酵素活性はestradio1によってactivateされ, progesteroneによっては逆にsuppressされる可能性が示唆された.
細胞診に酵素組織化学を応用するに当たっては, まだ多少の技術的問題点が残されているものの, Papanicolaou染色に酵素組織化学的手法を加味することにより, 今後の細胞診断学のより一層の発展が期待される.

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