日本臨床細胞学会雑誌
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胆汁細胞診にて悪性が疑われた慢性膵炎の1例
須田 耕一若林 とも森下 保幸黒田 ゆり子江里口 正純藤井 源七郎渡部 迪男鈴木 節子田村 八千代
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1982 年 21 巻 4 号 p. 731-736

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抄録
症例は右季肋部痛と黄疸を主訴として入院した49歳男性である. レ線的に十二指腸下行脚と総胆管下部の狭窄像, 上部胆道系の拡張および血管写上膵頭部にpoolingが認められたため膵頭部癌が最も疑われた. PTCドレナージよりの胆汁細胞診にて, 核は大部分が径5-9μであったが, なかには13μにも及ぶ大型核がありクロマチンも粗大顆粒状で, 顕著な核小体をみるなどの多様性の所見よりpositiveと判定した. 膵頭部癌の診断のもとに開腹すると, 膵頭部は超鶏卵大に腫脹し, 体尾も硬く, 被膜も変色し, 癌が膵全体に拡がっていると考えられ, 膵全摘を行った. 病理組織学的に, 膵頭部には癌はなく, 膵内胆管の狭窄を伴った慢性反復性膵炎であった. しかし, 胆管壁には膵よりの炎症の波及による著しい粘膜の増殖像があった. したがって, 本例は, これらの増殖した粘膜よりの剥離細胞を偽陽性とした可能性が高い. このように胆汁の細胞診には, 他領域と多少異なり良性異型細胞の存在など判定上のいくつかの問題点があり, この点について若干の考察を行った.
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