日本臨床細胞学会雑誌
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Flow-Cytometryによる腺癌細胞と扁平上皮癌細胞の鑑別について
岩田 正晴佐々木 寛坪井 透
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1983 年 22 巻 1 号 p. 18-25

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抄録

腺癌細胞は扁平上皮癌細胞に比し核小体が著明であることに注目し, Flow-cytometry (Bio/physics型) を用い, 核をDNA, 核小体をRNAとしDNA/IRNAの比で現すことにより, FMF上の腺癌細胞の特徴を把握するとともに扁平上皮癌との鑑別を行ってみた.
すなわち, Acrigine Orangeを用い細胞内DNAとRNAの同時螢光染色を行うのであるが, これにはまず核のdouble strand RNAをsingle strandにするためのdenaturingが必要であり, このためEhrlich腹水癌細胞を用い基礎的に検討を行った.
その結果, Traganosの方法は未固定の状態ではdenaturingは可能であるが, 臨床材料によるアルコール固定の場合には不向きで, これはリン酸緩衝液で2回洗浄することによりdenaturingが可能となり, FMF上DNA, RNAとも満足のいくpatternを示した. そこで腺癌と扁平上皮癌の培養細胞を用いRNA denaturingによるFMF解析を行ったところ, 腺癌ではX軸 (Red: RNA) 側に, 扁平上皮癌ではY軸 (Green: DNA) 側に細胞の分散が認められ, また人子宮頸部腺癌と扁平上皮癌細胞との比較においてもほぼ同様の傾向を観察し得たことより, FMFによる両者の鑑別は可能であると思われた.

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